フランス人の16才少女が「体毛を剃らない自由」をSNSで主張したことから、世界中で話題になったのが「ムダ毛に対する意識」です。
そして、多くの女性がワキ毛をSNSで披露したのでした。
そこで、女性セブンは、40~60代女性300人に「毛の処理」に関するアンケートを行ったのです。
まず、「『剃らない自由』についてどう思いますか?」と訊いたところ、34.7%が「賛成」、4.0%が「反対」、61.3%が「どちらともいえない」となったのです。
それでは自分も剃っていないのかといえば、さにあらず。「毛の処理、どこまでやっている?」の質問には「どこもしていない」と答えた人はわずか18.7%でした。40代では11%にすぎなかったのです。
脱毛しない自由は認めながらも、自分は脱毛し続けているということです。その理由は「女性として絶対やるべきだしこれからもずっと続ける」(33.%)という人たちがいる一方で、「本当はやりたくないが周りの目があるので仕方なく」(22.5%)、「みんなやっているので、なんとなく続けている」(19.7%)という意見も多数ありました。
その時に気になる“他人の目”は男性ではなく女性の場合もあるのです。
「ああ、剃ってないんだ、と思われるのは女として終わっているみたいで嫌」(46才・主婦)
「温泉に行った時に、隣にいた女性のわき毛が見えた時、あ…って思って、自分のわき毛を確認しちゃいました」(52才・パート)
そうした“毛”嫌いは、アンダーヘアにも広がっているということです。コスメディカル・クリニック・シンシア院長の又吉秀樹医師はこう語ります。
「最近、40~50代のアンダーヘアのレーザー脱毛を希望する女性が増えています。理由は、介護を経験したことで、“もし自分が下の世話をされる側になった時、もじゃもじゃしていると恥ずかしいし、やっぱり不潔”というものです。
実際、陰毛のあるなしでは、清潔さは1段階変わってきます。毛についた便や尿を放置して膀胱炎などの病気に、ということもありえない話ではないのです」(又吉医師)
レーザー脱毛は黒色に反応するので、白髪には効きません。そのため、介護される日までは時間がある世代で「今のうちに!」と駆け込む人が増えているというのです。その一方、介護のデイサービスを営む女性はこう明かします。
「介護従事者にとって、利用者さんの“毛”について気になったことはありません。年とともに薄くなる人が多いですし、毛が邪魔で入浴やトイレのお世話がうまくできないと思ったこともないです」
「脱毛しない自由」を宣言したフランスの少女しかりで、介護を見据えて脱毛をする50代女性もしかりです。
「毛」は意外にも自身の生きかたが投影されている深い問題なのです。
<女性のムダ毛問題 欧州ではワキ毛があっても気にせず>
女性のムダ毛処理についてちょっとした議論が勃発しました。
発端は7月13日、フランス人のアデル・ラボさん(16才)が、体毛を剃るのを拒んで学校でいじめを受けたとして、「毛を剃らない自由」をSNSで主張したことです。これに賛同するフランス人女性たちが次々と“未処理”の手足やわきの写真をアップしたため、世界中で賛否両論を巻き起こしているのです。
2001年からパリに暮らす中村江里子さん(47才)は、2003年の女性セブン連載コラムで、当時びっくりしたのがフランス人がムダ毛を気にしないことだと明かしていました。
「フランス人はムダ毛といっても、私たち日本人のように黒くはないから色は目立たない」と綴っていて、その上で彼女らは顔のうぶ毛を絶対に剃らない、と続けています。
それは「顔にかみそりをあてる行為は、男性がするもの」「かえってうぶ毛が濃くなる」という考えが根強いためだということです。
映画や舞台など数多くの海外セレブへのインタビューをしてきた、ジャーナリストの佐藤友紀さんも、「もともとヨーロッパでは毛に対する意識が日本やアメリカとは違う」と話しています。
「ドイツの有名な振付家、ピナ・バウシュ(享年68)が率いる舞踊団の女性ダンサーにわき毛の処理をしていない人がいて、ロングドレスなのにわきはフサフサで踊る姿に驚いたことがあります。イタリア映画の女性はわきも口周りのひげも未処理でした」
このニュースを聞いた反応はさまざまでした。「フランス人は毛の色素が薄いから手足の毛がフサフサでもきれいでずるいと思いました」とコラムニストの辛酸なめ子さんは語っています。
「わき毛は高校生の時、水着になった時に気になって処理しはじめましたが、すね毛の処理を始めたのは20代後半から。ずっとズボン派で必要性を感じなかったので・・。それがある日、“すね毛、結構目立つな”と思って…今では永久脱毛でツルツルにしました。それでも、毛から女性ホルモンが分泌されると聞いたり、欧米の女性が毛を処理せず堂々としているのを見たりすると、生やしたままでもよかったのかもと思います」
確かに、イタリアの大女優ソフィア・ローレン(81才)もわき毛を生やした写真が残っていて、イタリア系のマドンナ(57才)やアイルランドとデンマーク系にネイティブ・アメリカンの血も引くジュリア・ロバーツ(48才)、イギリスとドイツの血を引くドリュー・バリモア(41才)など、“わき毛フサフサ”がパパラッチされたセレブはヨーロッパ系が多いのです。となると彼女たちはアンダーヘアも“フサフサ”なのかも・・。
「逆にアンダーヘアの処理は当然のようにしています。というのも欧米はシャワー文化で湯船に浸かることもほとんどないですから・・。しかも、日本ほど温水洗浄便座も普及していませんから、やはり衛生面やにおいが気になるのではないでしょうか。
それもふまえると、今回の『剃らない自由』論争は、こういった最近の清潔志向に窮屈さを感じている人たちが、人間本来の自然の状態に戻ろうとする風潮が底流にあるのだと思えます。
そして、若い女性たちが賛同していることからもわかるように、これだけ脱毛する人が多いなか、逆に手を加えていない状態が他人とは違ってカッコイイという“ファッション”的要素もあるのでしょう」(佐藤さん)
昨年のフランス・カンヌ映画祭では、ヒールの低い靴でプレミア上映会に参加しようとした50代女性が入場拒否をされたことから「ハイヒールは女の義務なのか」との論争が世界中で巻き起こったのも記憶に新しいところです。
「剃らない自由」──芸術や文化、ファッションなど女の生き方に疑問を投げかけてきたフランス。この件もまた日本人にとってエポックメーキングな出来事となったのです。